数か月悩んでいたトラブルが、ようやく解決しました。
症状はかなり不思議で、Logicでは普通に使えるのに、Cubaseではまったく使えない。AU版は動くのに、VST版だけ動かないという現象でした。
同じ症状で困っている方がいらっしゃるかもしれないので、解決までの流れをまとめます。
この記事を書いた人: Step One DTM School 代表講師・現役作編曲家。日々のDTM制作環境のトラブルシューティングも自ら行い、レッスンやDTM Messagesでの質問対応にも活かしている。講師紹介ページへ
症状:AU版は動くのに、VST版だけ動かない
今回の環境は以下の通りです。
- macOS 15.7.7
- Mac Studio(Apple Silicon)
- Ivory 3.0.9
- USB iLok2
各DAW・フォーマットでの動作状況はこちらです。
- Logic(AU)→ 正常
- Cubase13 → NG
- Cubase14 → NG
- Cubase15 → NG
- Studio One 6(VST)→ NG
- Studio One 7(VST)→ NG
つまり、VST版だけ認証がおかしいという状態です。最初は「iLokがおかしいのかな?」と考えました。
最初に試したこと
一般的な対処法は、ほぼ全部試しました。
- iLok Synchronize
- iLok License Manager最新版への更新
- Ivory Libraryの再VERIFY
- プラグインの再スキャン
- DAWの再インストール
しかし、まったく改善しませんでした。
発想を変えて調査
今回は視点を変え、ターミナルで「プラグイン自体が壊れていないか」を確認してみました。すると、こんなエラーが出ました。
a sealed resource is missing or invalid
つまり「プラグインの中身が、本来の状態と違っています」という意味です。
原因は意外なファイル
さらに詳しく調べると、Contents/MacOS/log.mllというファイルが、プラグインの中に追加されていました。このファイルが原因で、プラグインの署名チェックが失敗していたようです。
解決方法
log.mllを削除ではなく退避(別の場所に移動)して、再度チェックするとvalid on diskとなりました。
その後Cubaseを起動すると、普通に音が鳴りました。さらにStudio OneのVST版も正常動作。何か月も悩んでいた問題が、一瞬で解決しました。
確認方法
ターミナルで以下を実行します。
codesign --verify --deep --strict --verbose=4 \
/Library/Audio/Plug-Ins/VST3/Ivory.vst3
もし以下のような表示が出たら、同じ症状かもしれません。
file added:
Contents/MacOS/log.mll
注意
今回の方法は、あくまで「私の環境では」解決した方法です。原因が同じとは限らないため、いきなり削除するのではなく、まずはcodesignで状況を確認することをおすすめします。作業前にはバックアップも忘れずに行ってください。
補足:原因の特定については慎重に
今回わかったのは、log.mllが存在するとコード署名が壊れること、そして退避すると直るという事実です。
一方で、「誰がlog.mllを作ったのか」は、現時点では断定できません。「log.mllが原因でした」という事実と、「log.mllをSynthogyやPACEが生成した」という推測は、明確に書き分けています。同じ症状に悩む方の判断材料として、事実と推測を区別してお伝えします。
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まとめ
今回改めて感じたのは、「Cubaseが悪い」「iLokが悪い」と決めつけず、一つずつ原因を切り分けることが大切だということです。
「AU版は動くのにVST版だけ動かない」という症状で困っている方がいれば、今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
よくある質問
iLok自体が壊れている可能性はないのですか?
最初はiLok側の不具合を疑い、Synchronizeやライセンスの再VERIFYを試しましたが改善しませんでした。今回のケースでは、iLok本体ではなくプラグインファイル内部の署名検証エラーが原因でした。iLokを疑う前に、まずcodesignコマンドでプラグイン自体の状態を確認することをおすすめします。
この方法はIvory以外のプラグインでも通用しますか?
log.mllというファイル名はIvory固有の可能性がありますが、「プラグインバンドル内に想定外のファイルが追加され、コード署名が壊れる」という現象自体は他のプラグインでも起こり得ます。同様の症状(AU版は動くがVST版だけ動かない等)が出た場合は、まずcodesign –verifyで検証してみることをおすすめします。
codesignコマンドが使えない、または表示の意味がわからない場合は?
ターミナル操作に不慣れな場合は、無理に自己判断で進めず、作業前に必ずプラグインファイルのバックアップを取ってください。表示内容の読み方に迷う場合は、DTM Messagesで状況を投稿いただければ確認いたします。
log.mllを削除してしまっても大丈夫ですか?
今回は削除ではなく「退避(別フォルダへの移動)」を行いました。原因や生成元が完全には特定できていないため、いきなり削除するのではなく、まずは退避して動作確認することをおすすめします。
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