黒金と略されるブラックフライデー。

ブラックフライデーは、アメリカの商習慣で11月の第4木曜日の翌日にあたる日に行う大セールのこと。

2022年の場合は、11月25日金曜がブラックフライデーにあたり、この前後1週間の期間が年間で一番プラグインエフェクトやソフト音源を安く購入出来るチャンスとして、プロアマ問わず親しまれているし、年間で一番DTM関連商品を購入することが多いと思います。

しかし、2022年のブラックフライデーは期待出来ないでしょう…それは1990年代後半以来の歴史的な円安になっているからです。

DTMerが知っておくべき円安とは?

円安とは、主に対ドルに対して円の価値が下落している状態のことを言いますが、これをDTMerお馴染みのプラグインエフェクトの価格で具体的な例を挙げてみます。

2022/6/18現在のWaves Horizonの価格
2022/6/18現在のWaves Horizonの価格

歴史的円高(2010年頃)

1ドル80円の時の購入価格

347.99ドル×80円×2.20%

約28452円

やや円安(2021年黒金頃)

1ドル114円の時の購入価格

347.99ドル×114円×2.20%

約40544円

歴史的円安(2022年6月18日)

1ドル135円の時の購入価格

347.99ドル×135円×2.20%

約48012円

20年以上DTMをやっておりますと、思い出されるのは2010年頃の歴史的な円高で、この時は私も様々なプラグインエフェクトやソフト音源を買い込みました。

それもそのはず、347.99ドルのWaves Horizonバンドルを購入する場合の価格差は、歴史的円高の状況と歴史的円安の状況では2万円も違います。

ようは、海外サイトで値段がドルやユーロで表示されているものをクレジットカードで買うと、日本で購入するよりも圧倒的に安かったため、日本代理店の日本語サポートが受けられない等のデメリットがあったとしても、海外サイトで買った方がメリットが大きいと思える状況だったのです。

ただ、残念ながらこの逆のことが2022年6月に起きています。

昨年2021年のブラックフライデーの頃の円の価値と、2022年6月の円の価値を比べてみると、1ドル114円から1ドル135円に変化しているため、約8,000円の値上がりが起きているわけです。

つまり、円安というのはDTMerにとっては、欲しいと思っているあのプラグインエフェクトやソフト音源が値上がりするということを意味していることになります。

上記の試算の条件について

上記の試算については以下の条件で行なっており、あくまで為替レートがDTMerにどのような影響を与えるかを簡単に説明するために行いました。

  • Waves Horizonバンドルの価格が今も昔も変わらないこととした
    • 実際Wavesは時が経つほど値下がりしており、2010年頃は現在よりも高かったです
    • 2022/6/18現在に行われている40%Offクーポンは考慮に入れていません
  • 購入時の支払い方法を一般的なクレジットカードとした
    • 多くのクレジットカードの為替手数料は2.20%です。Paypalを使った場合、為替手数料は高くなります。
  • 日本の消費税10%は、購入する海外サイトによってかかったりかからなかったりするため、この試算では省きました。また、2010年頃の日本の消費税は10%ではありませんでした。

2022年黒金セールは相応の割引率じゃないと意味がない!?

2021年頃の円の価値は1ドル114円。

2022年6月18日の円の価値は1ドル135円。

単純に比較すると、ドルで値段がついているプラグインエフェクトやソフト音源は、約18%の値上がりになっていることになります。

つまり、定価から20%引きのセールが行われていたとしても、2021年の定価とそれほど変わらない程度

日本円で生活していることが多い日本人にとって、黒金セールの効果は昨年よりも薄くなっている可能性が高いことになります。

なお、様々な経済の専門家が2022年末の円の価値について、1ドル150円付近とさらなる円安を予想する方も出てきていることから、ブラックフライデーを待ってからプラグインエフェクトやソフト音源を購入しようと買い時を待っていると、黒金セールで割引がかかっていても、2022年6月に定価で買っておいた方が安かった…ということすら起きる可能性があります。

黒金セールでどれくらい得しているのか、2021年の黒金の頃の1ドル114円ということを念頭に置きながら、賢くお買い物をした方が良さそうな気がします。

DTMerの2022年は「欲しい時が買い時」かも

私が大好きなApple製品をレビューされる方々がよくおっしゃるのは、「いつ出るかもわからない新製品を待つより、欲しい時が買い時」ということ。

この意見については、各々の考え方や状況によるというのが私個人の考え方で、私は「欲しい時が買い時」と思って購入を決断するときと、「いやいや、待つぞ」というときをケースバイケースで使い分けています。

しかし、私自身、この円安の状況を見て「いやいや、待つぞ」という考えをやめて先月(2022年5月)に色々買い物をしました。

私自身、個人事業主ということと、ブラックフライデーのこともあって、毎年11〜12月に一番DTM関連商品に散財するルーティンでしたが、2022年末の円安は、2022年6月の状況よりも悪くなることはあっても、良くなることはないだろうという予想をしたからです。

もちろん、私は経済の専門家ではありません。作曲家です。また、将来設計のために投資を軽くやっている程度の勉強しかしていません。

でも、ドルやユーロなどで価格表示されているプラグインエフェクトやソフト音源を購入する時、「〇〇%割引」だけを見て「安い!」と単純に考えられないことは、DTMerは意識しておいた方がよく、「欲しい時が買い時」という言葉を頭の片隅に置いておいた方が良い2022年となりそうです。