Appleは2021年10月19日、Macのための新しいチップであるM1 ProとM1 Maxを発表しました。

ようやくプロ仕様のAppleシリコンを搭載したMacが発売されることになり、様子見をしていたプロユーザーもM1チップシリーズへの移行が進むことになるでしょう。

最近のMacの進化は、DTMよりもマシンパワーが必要な動画制作用途などで語られることが多いですが、本記事ではDTMユーザーから見て、M1 Pro M1 Max MacBook Proをどのように捉えれば良いかを考察していきます。

M1 ProとM1 MaxのDTMにおける性能向上とは?

M1 ProとM1 MaxのCPUパフォーマンス
MacBook Pro 2021のCPUパフォーマンスについてApple公式サイトより

本記事公開時点では、まだM1 ProとM1 Maxは予約受付中で発売開始前となります。

具体的な性能は今後様々な情報がインターネット上でシェアされていくと思いますが、本記事公開時点でわかっているのは、Logic Proに付属するアンプシミュレータープラグインであるAmp Designerを旧機種と比べて1.7倍(MacBook Pro 16inch 2019 フルカスタマイズモデル比)立ち上げられることです。

Logic Pro付属のギターアンプシミュレーターAmp Designer
Logic Pro付属のギターアンプシミュレーターAmp Designer

また、M1 ProとM1 Maxで差が見られないところが、DTM用途で14インチ/16インチMacBook Proを選ぶ際の重要なポイントです。

M1 ProとM1 Maxの違いはDTM用途に限れば大きく変わらない?

そもそもM1 ProとM1 Maxの違いで目立つのはGPUのコア数の違いです。

GPUは、主に動画制作やゲームでの用途に大きく影響し、私がオンライン講座の動画編集に使っているDaVinci Resolveは、GPUへの依存が大きく、GPUの性能が作業の快適性や書き出し速度に影響します。

しかし、DTM用途においては、GPUの性能がDAWのパフォーマンスに強く影響するかと言えばそうではなく、CPUとメモリに依存します。

DTM用途において重要なCPUに関しては、M1 ProとM1 Maxともに最大8つの高性能コアと2つの高効率コアという仕組みで全く同じ。

そのため、M1 ProとM1 Maxで差が出るとは考えにくく、実際、先に挙げたAppleが公表しているLogic Pro上でのパフォーマンステストでもそれがわかります。

DTM用途に影響しそうなM1 ProとM1 Maxの違いはメモリ

先に述べさせていただいた通り、M1 ProとM1 Maxの性能がDTM用途に限って変わらないのであれば、お値段が安いM1 Proの方がDTM用M1 Macとして最適解かと思われますが、1点気になる点があります。

それが、メモリ帯域幅の違いです。

M1 ProとM1 Maxのメモリについて
M1 ProとM1 Maxのメモリ違い

M1 Proは最大200GM/sのメモリ帯域幅。

M1 Maxは最大400GB/sのメモリ帯域幅。

M1 MaxはM1 Proよりも2倍のメモリ帯域幅を持つ点がDTM用途で考えた時の唯一の違いです。

メモリ帯域幅というのは、メモリとCPU、メモリとGPU、メモリとストレージの間でデータをやり取りする際のスピードで、これによってアプリケーションの立ち上がりの速度や、大容量のソフト音源を読み込んで鳴らす際のスピードに違いが出てくることが予想出来ます。

私が愛用しているストリングス音源LA SCORING STRINGSなんかで考えてみると、私の使い方では1stバイオリン、2ndバイオリン、ビオラ、チェロを一気に読み込むと10GBを超えるサンプルをKONTAKTに読み込んで使うことになるのですが、その読み込みスピードで差が出てくる可能性があります。

また、再生しているときにCPUとメモリ、メモリとストレージの間の速度に余裕があれば、バッファーサイズを下げてレイテンシーを詰めた状態でも音切れせずに鳴らし切れることが期待出来ます。

M1 ProとM1 MaxのCPU性能が基本的に同じであることを考えると、メモリ帯域幅の差がびっくりするぐらい違うことは、過去の経験から考えてもないと思われますが、M1 Proから24コアGPUのM1 Maxにアップグレードしたとしても差額は22,000円であることを考えると、安心料としてM1 Max 24コアGPUを選択肢に入れても良いのかなと思います。

なお、M1 ProとM1 Maxではメモリの最大搭載量が違うというのもあるのですが、32GBもあればメモリ不足に陥ることはないということも、現状MacBook Pro 2018とMac mini 2018においてメモリ32GBを積んだ状態で使ってきた経験からわかっているので、大きな問題ではないと個人的に考えています。

デザイン刷新した初モノMacBook Proは不具合が多い問題

長年Apple製品を使っていると誰もが経験していることですが、デザインが刷新された後のMacBook Proは不具合が多いことで有名です。

かく言う私も、2016年にTouch Barが初めて搭載されたMacBook Proに飛びついて買ってしまいましたが、2ヶ月で故障。そのまま新品へ交換になってしまいました。

ノート型のMacは、デスクトップ型に比べ故障率は高めであり、私が過去所有してきたMacBook Proはその役目を終えるまでに故障せずに使えたものは1台もありません。(だから、Apple Careに絶対入っているし元は取れる)

限られたスペースにデスクトップ並みの性能を詰め込んだMacBook Proは、酷使すれば酷使するほど何かしら製品寿命に影響を与えるのでしょうか…。

なお、私にとってMacは、仕事で使う重要な商売道具。

もちろん、1台故障してもバックアップ機をもう1台必ず用意しているとはいえ、故障すればApple Careに入っていても3〜4日は手元にない状態になってしまうため、出来れば故障や不具合は起きて欲しくないもの。

今回2021年10月26日より発売される14インチ/16インチMacBook Proは、まだプラグインエフェクトのM1チップ対応が進んでいない状況だったとしても即購入したくなる魅力的な性能や機能を持っていますが、M1 Macでも外部ディスプレイ関連に不具合が多く出ているようなので、ディスプレイ関連が刷新されている14インチ/16インチMacBook Proでもグラフィック系に何か問題が出ないと良いんだが…と思っています。

逆に期待したいのは、熱問題の解消です。

私がメインマシンとして3年間使っているMacBook Pro 2018 Core i9モデルは熱問題による性能低下(サーマルスロットリング)が起きていたのですが、M1チップは消費電力が少なく、発熱が少ないことが知られているので、これだけハイスペックになったM1 Pro、M1 Maxにおいても熱問題が話題に上がるのは少ないのではないかと思います。

まとめ

DTM用途においては、DAWソフトウェアやプラグインのAppleシリコン対応がまだまだ問題として残っています。

しかし、14インチでも16インチでも性能が変わらないことから、私のように基本的に外部ディスプレイを繋いで使っている人間から見れば、とうとう気軽に持ち出せる14インチをメインマシンに出来ることが嬉しい。

また、期待通りMacBook Pro 2019 Core i9モデルフルカスタマイズモデルより1.7倍の性能アップというのは、非常に歓迎すべきアップグレードです。

ゲームチェンジャーとなったAppleシリコンで快適な音楽制作をする日がもう間近ということで、とても楽しみです。